海外で会議があるとき、前後に数日間観光を入れることがある。去年は3回の出張のうち、最後のバリ島だけ3日ほど早めに現地に入った。ホテルのスパでマッサージを受けたりプールサイドのパラソルの下で水着でペーパーバックを読んだり、ひたすらだらだらと過ごして大満足だった。
定例の春の会議が今年はフランスのエビアンで行われることになった。最寄の空港はジュネーブだが日本から直行便はない。そこでエールフランスでパリまで飛んで、少し遊んでから現地入りすることにした。
始めてパリを訪れたのは8年ほど前。オルセー美術館で丸一日過ごして、赤い特急タリスに乗ってアムステルダムの知人を訪ね、パリに戻ってさあもう1日美術館めぐりをしようと思ったらCNNで「パリが麻痺しています」のニュース。美術館から公共交通機関から航空会社の一部までゼネスト。フランス語が分からないとこういうことの情報が事前に分からなくて困る。歩いて回れるところだけ観光しても良かったのだが、インターネットで調べると乗るはずのジュネーブ行きのフライトがあおりを食ってキャンセルになっている。それを何とかしなくてはいけなくて、結局ホテルの部屋にこもって過ごすことになった。
2度目は確か4年前だと思う。いろいろな美術館、博物館にスムーズに入れるカルトミュゼというチケットを買ってルーブルやらオランジュリーやら手当たり次第に美術館めぐりをした。メトロも回数券を買って使い方にもすっかり慣れた。そのメトロの車内に “Do you speak English? … Speak Wall Street English!” という英会話のポスターが(破られもせず)貼られていて、しかも明らかに英語を話してくれるパリジャン・パリジェンヌが大幅に増えていて驚いた。
そして3度目となる今回の目的は世界遺産。モンサンミッシェルとベルサイユ宮殿を制覇したい! ところが日本を出る前の天気予報では、滞在期間中ずっと雨の予報。以前ミュンヘンからノイシュバンシュタイン城へのバスツアーに参加した時、ずっと曇りでお城に到着した頃には大雨になり、場内の見学も外からの光が入らないのでなんとも暗い雰囲気で「天気は大事だ」と痛感したことがある。とても残念だが航空券もホテルも予約済み、ええい、ままよ! の気分で出発した。
ところが到着してみると、本当に雨が降ったのは翌日1日だけで、あとはすばらしい快晴になり、私は心の中で快哉を叫びながらいそいそと今日はベルサイユ、明日はモンサンミッシェル・・・と美しい春のフランスを満喫することになったのだ。モンパルナス駅の近くに宿を取ったのも想像以上の大正解だった。 ・・・それにしてもこれほど外れる天気予報に何か意味があるのだろうか? (続く)