広い空間にクラシック音楽が流れる中散策していると、なんだか異空間に迷い込んだような気分だ。宮殿から大水路に至るまでですでにほぼ1kmあるらしいが、その間にたくさんの噴水が点在し、4月から10月までは噴水ショーが行われる。この期間のパスポートはそのために7ユーロも高い。どれかは見ないと後で損をした気分になりそうな人は、庭園に入るところにおかれたパンフレットで、どの噴水がどの時間に水を噴き上げるのか確認できる。
(庭園の地図。クリックすると拡大します。とにかく広い!)
(アポロンの馬車の泉水)
グラン・トリアノンはルイ14世の私邸として立てられた離宮で、ピンクの大理石とゴールドの組み合わせが意外にもシックで美しい。何の目的か分からないが新郎新婦姿の二人の写真撮影が行われていて、とてもさまになっていた。本当のカップルだったらとても良い思い出の写真になることだろう。そんな趣のある建物には、後にナポレオン夫妻が暮らした。
ルイ15世がポンパドゥール夫人に「ねぇ、ねぇ」とおねだりされて(?)造らせたプティ・トリアノンはルイ16世の即位後にマリー・アントワネットに贈られ、王妃はここに池やら農場やら、水車小屋やら村里やらからなる田園風景を造りあげた。
(これがお庭の中って、すごくないですか?)
いかにも田舎風の建物が点在する一角、トリアノンの自室の窓から見える場所に建てられたのが白い大理石の東屋風の建築物 Temple of Love だ。ヘラクレスの棍棒から弓を切り出そうとするキューピッドの像が置かれているが、これはレプリカだそうな。オリジナルはルーブル美術館にあるらしいのだが、残念なことに覚えがない。
農場には山羊、ウサギ、鶏などが飼われていて、心なしかこのあたりには子供連れが多い。一匹いじめっ子の山羊がいて、小さな子ヤギに喧嘩を仕掛けているところに、別の山羊が仲裁に入って、代わりに喧嘩の相手をする羽目になっていた。歩き疲れた足を休めてまったりと観劇するプチ・ドラマとしては上出来。
その後宮殿を「はい、閉館のお時間です」と係員さん達に追い出されるまで見学した。「戴冠の間」に飾られたダヴィット作「ナポレオンの戴冠式」も本人が書いたレプリカで、オリジナルはやっぱりルーブル。こちらはちゃんと覚えているし、写真にも撮ってあった。
(ルーブルのオリジナル)
ベルサイユは現在改修の真っ最中。場所によってはビフォー・アフターがはっきりと分かる。(もっと続く)
(クリックすると拡大します。)