ビニール袋、ペットボトル、クレジットカードを英語にする時、共通する単語は何でしょう? 答えは plastic。それぞれ bag、bottle、money をつければいい。素材がどんな組成であるのか、アメリカ英語では気にしない。つるつるした樹脂系の物は全部プラスチックなのだ。クレジットカードの利用が増え始めた頃には、 plastic society なる言葉も生まれた。
最近では plastics カードにも色々な種類があるが、ICチップ搭載のスマートカードは単に chip card と呼ばれたりする。Suica や Pasmo のようにあらかじめ決まった金額を入金して使うカードを総称して stored value card と呼ぶが、その入金を「チャージする」と言うのは、きっとバッテリーなどを充電するように減ってきた金額を補充するイメージから誰かが言い出したのだろう。英語としては正しくない。
支払いレジ cashier で “Cash, check or charge?” なんて早口で聞かれてまごついた経験はないだろうか。「お支払いは現金、小切手、クレジットカードのどれになさいますか?」つまりこの場合の charge はクレジットカードの口座に請求することを指す。宿泊先のホテルでの食事を部屋につけて欲しい時 “Charge it to my room” と言ったり、何かを無償で提供するのではなくお金を取りたい時などに “I want to charge for this service” のように使う。
Suica で出来るオートチャージ auto-charge の方は自動的にクレジットカードの口座に請求されて決済されることだと解釈できないこともないが、普通は毎月同じ日に行われる口座引き落としのことを指す言葉だ。カードへの入金は reload とか replenish と言う。
お金が絡まない charge の使い方もある。 “I want to charge him with battery” 「暴行で告訴したい」となると少々物騒だが、野球の応援などでよく使う “Charge!” と言うかけ声は「行け~!」という励ましだ。新たな年を迎えた日本も、もっと元気になって欲しい。
Charge!
(「毎日フォーラム 日本の選択」2011年1月号掲載)