一時期ACの公共広告が数多く流れていたが、ちょっと好きだったのが「こんにちワン」や「さよなライオン」が出てくる「あいさつの魔法」。小学校低学年を対象として企画作成したそうだが、大人にも実践して欲しいメッセージだ。最近とかく隣近所のつきあいが希薄になりがちだが、住民同士が一言声を掛け合うだけで防犯上大きな効果があるそうだから、挨拶ぐらい出し惜しみせずにしたいものだ。
先日英語での挨拶がどうも苦手で、という方にお目にかかった。顔見知りの相手だとおはようだけではすまなくて必ず “How are you?” がついてくる。中学校で習った “I’m fine, thank you. And you?” なんてネイティブは誰も言わないことは分かったけど、じゃあ、なんて言えばいいんだろう、なによりとっさに答えられない、と悩んだ結果、とにかくまず自分から “How are you?” の先制攻撃をすることにしたと笑っていらした。
実はこちらも “How are you?” と返せば事足りるのだが、それでは何となく落ち着かなく感じてしまうのであれば、悠長に答えている時間のないときなどに便利な短いフレーズを数パターン持っていると安心だ。簡単で取っつきやすいのが “I’m good!” あたりだろうか。主語を省略するのもいい。気分の良い朝だったら “Couldn’t be better!” で元気はつらつ感が伝わる。まあまあな日は “Can’t complain.” 忙しくてちょっと疲れがたまっていたら “Just getting by.” いずれも最後に “You?” とボールを投げて完了。相手の出方を待てばいい。
さようならにもバリエーションを持たせたい。その日のうちにまた会う予定があるなら “Catch you later.” とか “See you in a little bit.” というカジュアルな言い回しがある。 “Take care!” は「じゃ、気をつけて」という軽い意味。 “See you later.” は仕事を終えて明日まで会わない時でも使える。自分が先に帰る時は後に残る同僚に “Don’t work too hard.” 立場が逆だったら “Have a nice evening.” と送り出してあげるとスマートだ。
(「毎日フォーラム 日本の選択」2011年6月号掲載)