9月に妹とオーストラリアに旅行した。日本からの便は夜に成田を出発して早朝に到着する。シドニーで入国後、乗り継いでメルボルンへ向かう旅程だ。搭乗が済みまもなく離陸かと思う頃、機長から機材トラブルで出発が大幅に遅れるため、次の便に乗り換えたほうが早いと言うアナウンス。エコノミーの席だったので座席の背を倒すのに気兼ねがないようブロックの最後列を取っていたのだがその工夫も水の泡だ。がっかりしながら航空会社のサービスカウンターに向かった。
ぞろぞろ降りてきた乗客がこぞって次の便に座席を確保しようとする中、預けた荷物はどうなるのか尋ねると、次の便ではなくさらにその次になると言う。バゲッジ・クレームのあたりで空しく待つよりこのターミナルの方がましだと思い、そちらに変更した。もともと朝9時ごろの到着のはずだったのでホテルのチェックインには少々早いかと懸念していたが、この遅れで昼ごろになったのでその心配がなくなった。
メルボルン観光後、夜行寝台列車でシドニーへ向かう予定だったので、出発の朝、確認のため駅に行くとなぜか予約が取り消されていると言う。誰が、何故、私の予約を勝手に取り消したんだ?! 未だに謎だが、2時間近くねばった結果、スタッフ用にキープしてあったコンパートメントを融通してもらって事なきを得た。のんびり出発直前に行っていたら乗れないところだったかもしれない。他は全て4人部屋の中、唯一の2人部屋だったのでかえって気を使わなくてすんだ。
こんな綱渡りはあったものの、フィリップ島のペンギン・パレードを始めオーストラリア固有の鳥たち、コアラ、カンガルーと出会い、妹の大好きなマーケット巡りをしてとても楽しい旅行だったのだが、何故かそれだけでは終わらない。なんと帰国便が5時間遅れ。荷物を扱う関連会社のストが原因だ。結局、成田到着は夜遅く、都心へのアクセスの案内が悪いことこの上ない。最大のストレスは帰国後に待っていたのだった。
(「毎日フォーラム 日本の選択」2011年12月号掲載)