戌年という事で面白かったり可愛いかったりのワンちゃん動画が色々と話題になっているようだが、その一つがアラバマ州の警察署で屈強なお巡りさんと一緒に腕立て伏せ push-ups をする警察犬。「伏せ」「立て」を繰り返すシェパードに二人の警官が合わせているだけなのだがそのシンクロ具合が絶妙で全員の強面ぶりと相まってちょっといい味を出している。
署内での彼らの所属が K-9 Unit、犬、イヌ科を意味する canine のごろ合わせでアメリカでは警察犬部隊を一般的にこう呼ぶ。ちなみにこうした数字を使った略語は広義の numeronym と呼ばれる。World Wide Web Consortium の略称が W3C なのもこの例だ。
人類の最も古い友たる犬だけに成句も多い。The dog ate my homework. は宿題を忘れた子供の誰も信じない言い訳。準備不足の部下や同僚に Don’t tell me the dog ate your homework.「しょうもない言い訳は通用しないよ」のように使える。喜びを隠せないほど嬉しそうな様子を茶化す like a dog with two tails は犬が尻尾をぶんぶん振り回す様子が想像できて面白い。同じ尻尾でも the tail wagging the dog は「尻尾が犬を振る」という逆転現象、つまり本末転倒だ。釈迦に説法の犬バージョンが teach a dog to bark、ただし、面と向かっては使わない方が良い。
「鉄は熱いうちに打て」「矯めるなら若木のうち」に近いのが You can’t teach an old dog new tricks. 老犬に新しい芸は覚えられない、と言う訳だが、実はこれ、必ずしも正しくはないようだ。成犬の方が集中できる時間も長く子犬より躾けやすいのだと説明するドッグトレーナーがいた。また、新しいことを覚えるのに時間はかかるものの、老犬の方がその後の推論、応用に優れていたという研究結果もあるという。人生百年時代ともいわれる今、人間もいくつになっても学び続ける姿勢が必要なのかもしれない。「もう歳だから」は a dog-ate-my-homework excuse になりつつある。
(「毎日フォーラム 日本の選択」2018年1月号掲載)
Unknown
私は「The dog ate my homework. 」は知らなかったのですが、「へえ、面白い表現」と思っていたところ、先日観た何かの番組の中でこの表現が聞こえて「おおっ」と思いました。
犬ではないですが、動物つながりで猫の話。
昨日、ある(長い付き合いの)生徒さんのお宅に伺って、そこの猫ちゃんとも会ってきたのですが、
彼(と奥さん)がその猫ちゃんを飼うようになったいきさつを初めてちゃんと聞いてびっくりしました。捨て猫だったとは聞いていたのですが…。
なんと、茶色い紙袋に入れられ、スーパーのペット用の食品などが売られているコーナーに捨てられていたのだそうです。
朝になって警備員が来たときに、にゃあにゃあという声がしたので不審なその袋を覗いたら子猫ちゃんがいた、という…。
その後いろいろあって、人づてに猫ちゃんのことを聞いた彼らが引き取ったのですが、一週間後、同じ場所にそっくりの顔のもう少し大きな猫ちゃんが同じように捨てられていたそうです。たぶん、お姉ちゃん。
タイミングが悪く、一緒には引きとれなかったらしいですが、おそらく、前の猫ちゃんが誰かに引き取られたのを知った元の飼い主が、「それならこの子も」と捨てたのではないかと推測できます。
それってひどくないですか?
しかも、スーパーの床って。
きっと「ここなら猫好きの人が来るかも」程度の考えでそこに捨てたんでしょうけど…。
引き取られた猫ちゃんは7年たった今でも人間不信で警戒心が強いようです。
昨日も、少し慣れてもらうだけでも、結構時間がかかりました。
心の傷、ですよね。
どこの誰かは知らないけれど、もうそういうのはやめてほしいです。