猫の学習

犬と違って猫はトイレ以外しつけられないと思われているようだが、実はそんなことはない。うちのおじいちゃんと熟女のペアは食卓には決して飛び乗らないし、家具や壁で爪を研ぐこともない。私の配偶者がみごとにしつけた成果だ。

猫は生まれてから6ヶ月の間に、親猫から生きていくためのすべを学ぶ。つまり、しつけをするのもその期間がキモなのだ。本能は押し殺すことが出来ないから麻縄を巻いたキャットタワーを準備したり、段ボール製爪とぎをあちこちに用意して、爪を研ぎたそうにしていたらすかさず連れて行って「爪とぎはここ」と教える。飛び上がっても良い場所にあがった時は放っておくが、いけない場所にあがったらそのたび根気よくおろす。嫌な思いをすると近づかなくなるので、荷造り用テープの粘着面を上にしてテーブルの縁に貼っておくのも効果的だった。

ポンはある店のペット用品売り場で行われていた里親探しでもらってきた猫だ。同じ頃に生まれた7~8匹の子猫と一緒に大きなケージに入れられていたのだが、あきらかに周りの子猫たちより小さく、自分より一回り大きな子猫に威嚇されて隅っこでさらに小さくなっていた。最初のワクチン接種に連れていった獣医さんも誕生日を聞いて首を傾げ「さばを読まれているかもしれませんね」と言ったほどだ。後に、もらった時に告げられた誕生日からちょうど半年で乳歯が抜け始めて実は正しかったことが分かるのだが、ポンはそれほど小さかったのだ。その後いろいろお世話になった良い獣医さんだったが「まあ、あまり大きくはならないでしょう」は大はずれだった。

猫は食事の催促をする時、飼い主の足にこつんと頭突きをする。母猫のおっぱいをずんずんとつくと刺激でミルクが出る、そのなごりだ。一緒に生まれた兄弟達との競争に勝てず、一番出の悪いおっぱいをあてがわれたからだろう、ポンの頭突きはものすごく強い。小さな頭を一生懸命押しつけなければ、なかなかミルクが出なかったのに違いない。すっかり体が大きくなってからも、思い切り体重を預けながら来るものだから飼い主には「膝かっくん」をされたくらいの衝撃がある。

母猫のおっぱいにむしゃぶりついた子猫はのどをごろごろ言わせながら両手をふみふみすることを覚える。そうすることでミルクの出が良くなるからだ。ポンはふみふみもしないしごろごろも下手だった。どうやらそれどころではなかったのだろうと、私は想像している。ついでに言えば猫草を食べることも含めて、どうやらポンは本来子猫が最初に教わる多くのことを覚えないまま里子に出されたふしがあるのだ。高いところに上がった猫の勝ち、と言う基本的なルールもその一つ。

ただ親元で一生暮らせない子猫たちはだいたい3ヶ月くらいで里親のもとにもらわれて行くので、元々6ヶ月かけて覚えることを全て身につけているとは期待できないのも事実。今回はポンのことばかり書いたが、タラにも明らかに猫として正しいとは思えないところがある。その話はまたそのうち・・・。

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